薬剤師のキャリア

薬剤師のキャリアは施設区分や職種によっても大きく変わります。施設区分ごとにどのような特徴があるのかを事前に知っておくことで、それぞれの違いを理解しましょう。

【1】調剤薬局

現在、薬剤師の約半数が調剤薬局に就職していると言われています。薬学部6年制による卒業生の減少や薬剤師国家試験合格率の低下などで、調剤薬局での人材は不足していることから、求人ニーズが高いのです。ひとくちに調剤薬局といっても、大手調剤薬局チェーンや個人薬局、大型病院やクリニックの門前薬局など、いくつかあります。調剤薬局に転職する場合は、自分がどのような調剤薬局に勤め、どんな勤務がしたいかをしっかり考えた上で活動しましょう。

調剤薬局の種類

調剤薬局の種類によって働き方も大きく異なりますので、それぞれの特徴を説明します。

大型病院の門前薬局
新薬を使う病院もあり、扱える薬の種類が多いのが特徴です。勤務としては、大型病院では午前中に診療が集中する為、時間通りに終わることが多いようです。土曜日の外来を休診にしている病院もあり、土日休みになる薬局もあります。
クリニックの門前薬局
患者さんとじっくり向きあって服薬指導できるのが特徴です。また、医師とのコミュニケーションも取りやすい環境にあります。勤務状況は、例えばクリニックの受付が12時まで、午後の診療開始が15時からであれば、休憩時間が2~3時間と長めにとれます。しかし、受付時刻を過ぎても患者対応するクリニックがほとんどなので、就業時間内に終わらないことが多いようです。
面対応薬局
処方箋が少ない薬局が多く、特定の診療科目に左右されない為、多くの種類の処方箋を じっくり扱うことができるのが特徴です。ただし、どの病院の処方箋が来るか分からないので、薬の在庫管理が難しい場合も。それに対応する為、ジェネリックを多く取り扱う傾向にあります。商店街や駅の近くにあり、営業時間は長めで、ドラッグストアと併設しているところが多いようです。

働く上での注意点

「服薬指導にじっくり取り組みたいと思ったのに、転職した総合門前薬局では、午前中は調剤と監査で手いっぱいで、服薬指導はするものの、待っている患者さんのことを考えると早々と切り上げないと終わらない状況だった」「新薬のことも勉強したいと思っていたのに、クリニックの門前薬局では、新薬はなかなか使われず、新薬を扱うことができなかった」等、自分の志向に合わない調剤薬局であったことを転職後に気づく、というケースもあるようです。自分がどのような薬局で働いて、どういう薬剤師になりたいのかをしっかりと考えた上で転職活動を進めると良いでしょう。自身で収集しづらい情報やキャリアイメージを持ちにくい場合は転職支援会社を利用することもおススメです。

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【2】病院

病院を志望する薬剤師は、比較的大きな病院(200床以上)で病棟服薬指導の経験を積みたいという方が多いようです。しかしながら、200床以上ある病院の多くが新卒採用中心であったり、公立病院では公務員試験に合格する必要があります。また、民間の200床以上の病院(かつ急性期)となると求人は多くはありませんので、求人が出た際には応募の機会損失のないよう注意しましょう。もちろん、規模は小さくとも病棟服薬指導がしっかりしている病院も多いですし、将来的に大きな病院を志望するのであれば、病棟服薬指導でしっかり点数の取れる薬剤師になっていることが最低条件ですので、まずはご自身のキャリアをしっかり積むことが大切です。

病院薬剤師の業務

病院薬剤師の仕事には、主に調剤、製剤業務、病棟服薬指導、DI業務、混注業務があります。
チーム医療に携われるのも病院薬剤師ならではです。

調剤

原則、調剤薬局の調剤と同じですが、病院では外来患者さんと入院患者さんの調剤があります。入院患者さんの調剤では注射剤の調剤もあるので、そこが調剤薬局と大きく違うところです。

製剤業務

製剤業務では、治療上の必要に応じて個々の患者さんに合わせて調製します。調製する製剤は内服薬を始め、注射剤など全ての剤形が対象です。剤形を変えても、品質はもちろん、有効性や安全・安定性面について同等に保つ必要があります。薬学的知識だけでなく、疾病に関する幅広い知識が求められます。

病棟服薬指導

調剤薬局の服薬指導と大きく異なる点が、カルテを見て医師や看護師と打ち合わせの上、指導に当たることです。また、患者さんが服薬した後、どう変化があったか知ることができ、調剤薬局以上に患者さんの薬物治療に関わることができます。

入院患者さんが持参した薬が院内にない場合、他にどういう薬物治療が考えられるか、医師に薬の処方設計の提案をします。退院時には退院後の日常生活に合わせた服薬指導をします。

DI業務

薬の投与方法、投与量、副作用、相互作用などの様々な情報を管理し、医師をはじめとした病院スタッフや患者さんへ情報提供をします。院内で発生した副作用情報の収集も仕事です。治験では見つからなかった副作用が見つかる場合もあり、厚生労働省、製薬メーカーと情報共有します。

治験

治験に参加する被験者の方のケアをしながら、治験コーディネーター(CRC※1)として治験業務のサポートを行います。仕事は治験薬の管理業務、治験(IRB※2)事務局業務、被験者のケアなどを行います。

※1 CRC:clinical research coordinatorの略。治験業務が円滑に行われるよう運営をサポートする専門家。薬剤師の他、看護師や臨床検査技師がその職務にあたっています。
※2 IRB:Institutional Review Boardの略。治験が科学的・倫理的に正しく実施できるかを審査する委員会で、設置が義務づけられています。

混注業務

注射薬の混合業務です。口から入れる内服薬と違って血管に直接投与する注射剤は衛生管理にとても気を遣います。高カロリーな輸液に関しては細菌が繁殖しやすい為、クリーンベンチで調製を行います。

チーム医療

一人ひとりの患者さんに対し、関係する医療職が集まり、チームとしてケアに当たることを言います。従来、治療方針は全て医師が決定し、各専門職に指示していましたが、チーム医療では患者さんの状態に合わせて複数の職種にまたがるチームで医療サービスを提供していくのが一般的です。各医療スタッフは医師と対等な立場で意見を述べ、コミュニケーションを密にします。薬剤師は薬の専門家としての立場からチームに参加します。

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【3】調剤併設OTC/ドラッグストア(OTCのみ)

ドラッグストアの営業時間は10:00 ~ 22:00、中には9:00 ~ 23:00や24時間営業と営業時間が長く、2交代や3交代勤務になるため、勤務状況により生活パターンが異なります。また、繁華街のドラッグストアやショッピングセンター内のドラッグストアは土日や祝日がかき入れ時で、休みが平日になることもあります。

その一方、給与が高いのは魅力です。年収600万円を超える求人も珍しくありません。また、調剤を併設するドラッグストアも増え、在宅医療と合わせて従来よりも薬剤師の職能を発揮しやすい職場が増えています。



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【4】製薬メーカー・CRO・CSO

製薬メーカー、もしくは、CRO、CSOへ転職する場合、管理薬剤師として医薬品管理や学術担当業務を行う以外に、治験業務などに関わることができます。 CSOとはContract Research Organizationの略で、製薬会社が医薬品開発の為に行う治験業務を受託・代行する機関や企業を、CSOとはContract Sales Organizationの略で、製薬企業からMR活動を受託する企業を指します。

治験業務は、新薬開発プロセスに携わることができるため社会貢献度が高く、また、福利厚生が充実している企業が多いのも特徴です。

臨床開発モニター(CRA)

研究開発で薬効と安全性が確かめられた化合物(薬の候補)が、人にも有効なのかどうかリサーチする、治験担当です。

治験コーディネーター(CRC)

治験に参加される被験者の方のケアをしながら、治験業務のサポートを行います。
具体的には治験に関わるデータ管理などの事務的業務や、被験者のケアなどを行います。

薬事申請

治験で有用性が確かめられた化合物を薬として承認してもらう為の提出書類を作成。薬事法改正等の対応、原薬業者への査察などを行います。

医療情報担当者(MR:Medical Representatives)

薬事申請を経て薬として承認された商品の適正な使用の為、医療従事者へ製品情報を提供することが主な業務です。

DI業務

病院や調剤薬局からの問い合わせ対応、承認された新薬の資料作成、薬事法に対応したカタログやプロモーション資料作成を行います。

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【5】その他 

調剤薬局、病院、ドラッグストアや製薬メーカー以外にも活躍の場は広がっています。化粧品メーカー、サプリメントメーカーや公的機関など、など多岐に渡ります。

化粧品メーカー(薬事)

薬事法に則って化粧品・医薬部外品(薬用化粧品)の新製品やマイナーチェンジした際の各種申請業務です。カスタマーサポートからの成分に関する質問への回答や製品カタログ等のライティング、広告原稿チェックなど、業務は多岐に渡ります。

サプリメントメーカー(ユーザーサポート)

サプリメントや特定保健用食品などは薬と禁忌作用があり、サプリメントを飲んで異変があった等、購入者からの問い合わせ対応がメインの仕事です。 服薬指導に慣れた調剤薬局や病院の経験者であれば、比較的転職しやすい環境です。

公的機関(国家公務員、地方公務員)

国家の薬事行政に携わる公務員として、各都道府県の薬務課での勤務、薬局や医薬品製造業者への立ち入り検査や指導、保健所での環境衛生監視員、食品衛生監視員、公立病院での調剤業務などがあります。 薬務課の仕事は温泉の許可や害虫駆除、シックハウスの室内検査など活躍する場面は想像以上に多くあります。


いかがでしたか。薬剤師の仕事は想像以上に幅広く、薬学知識が活かせる職場は今後も増加していくと見込まれています。正確な情報収集をし、視野を広く持って転職活動をすることが、異業界へのキャリアチェンジやキャリアアップにも繋がると思います。

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